【Vol.41-巻頭特集】強い思いと、覚悟を胸に。

2月28日、2016明治安田生命J2リーグがいよいよ開幕。京都サンガF.C.は石丸清隆監督のもと、攻守にわたって積極的に行動を起こす「アクションサッカー」を掲げ、新たなスタートを切った。チームのために労を惜しまない選手たちが今、一丸となって闘いに挑む。

ポジション争いを活性化させる的確な戦力補強を実施

2016シーズン、京都サンガF.C.が大きく生まれ変わった。オフの間に長年サンガを支えてきた中山博貴の引退や、宮吉拓実、駒井善成、伊藤優汰、原川 力らアカデミー出身選手の移籍などを含め、多くの選手がサンガを離れることとなった。

その一方で、サンガは積極的かつ堅実な補強に取り組む。元日本代表ゴールキーパーの菅野孝憲や韓国代表・イヨンジュといった名実ともに申し分なしの選手をはじめ、経験豊富な佐藤健太郎と矢島卓郎、所属クラブで主力として活躍してきた染谷悠太、牟田雄祐、本多勇喜、堀米勇輝、岩沼俊介らを獲得した。

また多数のJクラブが争奪戦を繰り広げたブラジル人ボランチ・アンドレイの獲得にも成功。さらにはサンガアカデミー出身選手である高橋祐治、國領一平、齊藤隆成、田村亮介が他クラブで修行を積んだ末、サンガへの復帰を果たした。

今回の補強にあたり大切にしたのは、過去の実績ではない。「自分を変えたい」という強い気持ちと覚悟、今後の伸びしろを重視した結果、高い意識を持った選手が新たな挑戦の場としてサンガを選んだ。

また、新たな戦力の加入によって、すべてのポジションで競争が激化。チームメイト同士が切磋琢磨することにより、個として、チームとしての成長を促す。

「一丸」。そのチームスローガンに込められた強い決意

所属選手の半数以上が刷新されたサンガ。昨シーズン途中からチームを率いた石丸清隆監督が続投となったが、前年からの積み重ねというよりは、ゼロからのスタートに近いと言っても過言ではない。サンガが目指すのは攻守ともに積極的に仕掛けて主導権を握るアクションサッカー。

これを実践するにはより多くの運動量、ピッチ上の選手が連動して機能するためのコミュニケーションが欠かせない。開幕前の鹿児島キャンプでは有酸素系のトレーニングにやや比重を置き、アクションサッカーの土台づくりに取り組んで来たが、戦術に関してはシーズンを通して熟成をはかることになるだろう。

ただ、石丸監督が昨シーズンからこだわりを見せている「守備の整理」に関しては、キャンプ中から仕上がりは上々で、現段階で主力組と見込まれているメンバーで臨んだトレーニングマッチでは無失点を続けた。

多くのファン、サポーターが気がかりなのは、マルチなアタッカーである宮吉拓実、駒井善成が抜けた後の攻撃陣ではないだろうか? しかし、サンガの新たな顔ぶれを見渡すと守備ポジションの選手の多くは攻撃に転じた時のビルドアップにも長けており、「前の選手だけが攻撃をするサッカー」ではなく、ピッチに立つ選手全員が攻守に積極的に関与するアクティブなサッカーを見せることができるはずだ。

2016シーズンにサンガが掲げるチームスローガンは「一丸」。これは選手、コーチングスタッフだけではなく、サンガに関わるすべての人が一丸になることによって、より大きな力をもってシーズンを闘い抜きたいという気持ちを表している。

石丸監督は「ひとりのスーパーな選手の活躍で勝っても、それは本当のチームの力ではない。チームのために走り、ミスを恐れずにチャレンジし、仮にミスがあっても全員でフォローする。その上で結果を出せるのが真のチーム力」と、チームの団結について説く。

今シーズンのサンガには「J1昇格」という目標がある。これを選手が共有するのはもちろんだが、これに「自分がサンガでプレーする意味」、「サンガで成し遂げたいこと」など、選手個々が持っている強い思いと覚悟が重なれば、目標へ突き進む推進力は大きく増すはずだ。

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