【Vol.43-巻頭特集】Hungry〜魂はいつもギラついているか?(後編)

プロになれただけで満足していないか? 試合に出ただけで安心していないか?
今シーズンのサンガにスタメンを確約されている選手など、誰ひとりとしていない。
もっと貪欲に、もっと全力で。國領と山田がサンガアカデミー出身選手のあり方について考える。

サンガアカデミー出身の選手はもっとハングリーであってほしい

山田:サンガU-18で出会って以来、気づけば長い付き合いになるけど、トップチームで一緒にやるのは今年が初めてっていう気がしないよね。

國領:普段の雰囲気は前と変わってないからかな? ただ、ゲンキは去年試合に出てたのが自信になってるのは感じる。ゲンキもそうだし、ユウジ(高橋祐治)もカマタマーレ讃岐で経験を積んだことで何事にも意欲的に取り組むようになったし、言葉に重みがある。今シーズンは今までサンガを引っ張ってきたアカデミー出身選手がたくさん抜けたけど、自分も含めたアカデミー出身選手がそれを感じさせないようにしっかりやっていかないと。

山田:それは後輩たちにもよく言ってます。みんなもっと頑張ってほしい。自分なりに頑張ってるつもりだろうけど、もっとできるはず。時折「そこ、走りきれるだろ!」と思うことがある。社会人として働きながらサッカーをしていた経験がある一平くんは特に強く感じてると思うけど、中堅やベテランの選手を脅かす勢いやハングリーさを持ってほしい。

國領:下の年代もそうだけど、オレたちの年代も下から抜かれる危機感をあまり感じない。オレはユウヤ(久保裕也/BSCヤングボーイズ/スイス)をはじめ、サンガを出てプレーしてる選手が試合に出てるかどうかすべてチェックしてる。リキ(原川力/川崎フロンターレ)もU-23日本代表としてオリンピック出場を決めた試合で点を取った。そんな彼らの活躍をもっと意識しないと。そしてそこから何かを感じ取ってもっと普段の練習から声を出して倒れるぐらい全力で取り組めばいい。

山田:サンガに限らず、Jクラブのアカデミー出身選手は球際の競り合いや身体を投げ出すようなディフェンス、最後にあと一歩出せるか出せないかの部分で物足りないと感じることが多い。去年、サンガでそこをしっかり見せてくれたのはヨシアキくん(駒井善成/浦和レッズ)ぐらいだった。Jクラブのアカデミーは人数が多くなく、環境が整っていることで競争意識が薄くなりがちなのかも。一方、高校サッカーの世界は部員が100人を超えるところも多いし、走り込みの練習が多く、競争意識やタフさが身につく。また、アカデミーは高校サッカーような上下関係がほとんどないから、厳しく言う人も少ない。その分、自分で気づいて練習から全力でいかないと、本当にプロとしてのスタートラインに立ったとは言えない。自分もプロ1年目になってやっとそのことに気がついたけど、できればU-18にいる時からそこに気づいてほしい。

國領:アカデミー出身選手はもっとギラギラしてて、ベテランを引きずり下ろすぐらいの気持ちでやってもいいと思う。

山田:今シーズンはなかなかベンチ入りできていないので、第三者から見たら厳しい状況に見えるかもしれないけど、スゲさん(菅野孝憲)、ケイスケくん(清水圭介)さんから日々学ぶことが多く、素晴らしい環境だと感じてる。自分が変われるチャンスだと思ってるし、去年試合に出ていた時よりもずっと調子が良くて、いつでも出られる準備は常にしているつもり。このままシーズンが終わるまでまったく試合に絡まないつもりはないし、出たらしっかりやれる自信はある。この充実感をこれからも継続させ、今後につなげていきたい。

國領:オレも試合に出れたとはいえ、調子がいいのに出られていないこともあり、今の出場試合数や出場時間にはまったく満足していない。これからは出場数はもちろん、ゴールやアシストなど数字にこだわるとともに、自分の特徴である「チームのために動くプレー」で勝利に貢献していきたい。こうしてやっとサンガに戻ることができたけど、自分の足元をしっかり見つめて一日一日の練習を大事にすることが、これから先につながっていくと思う。

プロフィール:國領 一平

國領 一平 KOKURYO Ippei

スカラーアスリートプロジェクト4期生

1993年7月31日生まれ。滋賀県出身。サンガU-15、U-18を経て、2012年にトップチームに昇格する。2013〜2014年は佐川印刷SC(SP京都FC)、2015年はMIOびわこ滋賀でプレーし、今年からサンガに復帰した。ボランチやサイドハーフ、サイドバックなど、さまざまなポジションをこなすことができるユーティリティプレーヤーであるとともに、左足から放つ高精度のキックが武器。

プロフィール:山田 元気

山田 元気 YAMADA Genki

スカラーアスリートプロジェクト5期生

1994年12月16日生まれ。岐阜県出身。中学校卒業後サンガU-18に加入し、2013年にトップチームへ昇格。昨シーズンはリーグ戦15試合に出場し、貴重な経験を積んだ。抜群の反射神経を生かしたシュートストップや、思い切りの良い飛び出しに定評がある。去年はU-22日本代表の国内合宿にも招集されるなど、将来性に期待が寄せられている。

この記事をおすすめする人

【Vol.43-巻頭特集】Hungry〜魂はいつもギラついているか?(後編) 写真

KYOTO eBOOKS編集部

京都府内の観光・情報誌や広報誌などを電子書籍にして、厳選された記事を読みやすくお届けします。

おすすめ

サンガタイムズ 2016年5月号

アイコン:ブックを見るブックを見る

ピックアップ見る