【Vol.44-巻頭特集】Go Forward!(後編)

ゴールを奪うだけでなく、さまざまな役割を要求されるのが、現代サッカーのフォワード。
彼らが汗を流した分だけ、サンガは一丸とまとまり、さらにまた強くなっていく。

異なるタイプのふたりが考えるいいフォワードって何だ?

有田:セルくんと僕が組んでプレーする時は、自分が動き出したら必ずパスを出してくれると信じて動き出すようにしてる。セルくんと組む場合は、迷いなく動き出さないとタイミングが合わない。それだけ僕の動き出しを意識してくれている。見た目は優しくないけど、プレーは優しいよね(笑)。

セル:ありがとう(笑)。若い時は自己満足なところがあって、一度タイミングが合わないと「次は自分で行こう」と思うことも多かった。そして自分でドリブルを仕掛けて2〜3人抜いたところで止められる。シュートに持っていけないのはもちろん、ファウルさえ取れない。「今のプレーはチームにとって何だったの?」、「何の意味があったの?」と。もしかしたらヌマの初ゴールの時も、自分でターンしてシュートできたかもしれない。でも、海外でプレーしてわかったことがある。「オレが、オレが」と言うタイプが多い海外の選手でも、自分でシュートを打っても決める確率が低いと判断したら迷いなくパスを出す。チームのことを考えられなければ、いい選手にはなれない。アリは「自分のことを見てくれている」と言ってたけど、もしアリが動き出してくれなかったら、自分で行くという選択肢しかなくなってしまう。自分の近くにはアリもそうだし、ヨンジェ、コージさん(山瀬功治)、ゴメ(堀米勇輝)がプレーしているので、それぞれの良さをどうやって引き出すかを常に考えてる。ライバルかもしれないけど、嫉妬心はいらない。大切なのは互いに信頼し、相手の良さを引き出そうと思う姿勢。アリもケガでちょっと試合から離れていた時があったけど、これからは得点源として活躍してくれると思うよ。もうアリぐらいの選手になると自分にどれぐらいのことができるかわかってるはず。それぐらいできあがった選手。

有田:まだ決定的なところを決められなかったり、その一方で難しいシュートを決めたりすることがある。「フォワードあるある」だね。開幕戦のゴールも一回相手に強く当たられたので、密集地帯を避けていたところにいいボールが来たから(笑)。

セル:FCソウルで一緒にプレーしてたアドリアーノっていう選手も3回決定機を外した後、きれいなゴールを決めた。それはいいフォワードだから。外したことも決めたことも含めて言えること。

有田:本当は「フォワードあるある」で済ましていたらダメなんだけどね。

セル:中国でプレーしてた時はサイドハーフやボランチもやっていて、改めて「フォワードの仕事って何だ?」って考える機会があった。「点を取ることがフォワードだ」ってよく言われるけど、自分は「チャンスをつくること」だと思う。チャンスをつくることができずに試合が終わった後、本当にむなしい気分になるもん。シュートを外しているなら大丈夫。そのうち絶対に決まるから。

有田:これからもセルくんがボールを出してくれると信じてプレーします!

プロフィール:エスクデロ 競飛王

エスクデロ 競飛王 ESCUDERO Sergio

1988年9月1日生まれ。スペイン出身。父が浦和レッズでプレーし、自身も浦和でプロのキャリアをスタート。2007年に日本国籍を取得し、U-23日本代表にも名を連ねた。FCソウル(韓国)、江蘇舜天/江蘇蘇寧(中国)でのプレーを経て、今年、サンガに加入。抜群の突破力とキープ力を併せ持ち、チャンスを量産。サンガの攻撃を支えている。

プロフィール:有田 光希 ARITA Koki

有田 光希 ARITA Koki

1991年9月23日生まれ。新潟県出身。中学生時代はアルビレックス新潟Jrユースで過ごす。北越高校卒業後、ヴィッセル神戸、愛媛FCでプレー。愛媛在籍時代の2012年は14得点を挙げる活躍を見せた。2014年、サンガに加入。前線からの献身的なチェイシングや身体能力の高さを生かしたシュートが武器。たびたび決めるビューティフルゴールは、サンガファンの記憶に残る。

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